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​もしもあなたが開発計画に直面したら 
「住民のための開発対策ガイド」

~葉山の未来を考える町民会議版~

​開発計画に直面した時、住民がまず確認すべき視点

【1】開発計画が持ち上がったとき、住民としてまず判断すべきことは大きく3つあります。

1)その開発は「完全に合法」かどうか?

建築基準法や都市計画法など、すべての法令に完全に適合している場合、住民が開発を止めるのは非常に難しいのが現実です。

しかし実際にはこの「完全に合法なケース」は意外と少ないのです。

2)特例や解釈の変更によって“合法化されている”ケース

本来のルールでは建てられないはずなのに、「但し書き条項」などの特例や法の“解釈”を利用して合法に見せているケースが多く見られます。例:道路幅は原則4メートル以上必要ですが、全国には4m未満の道路が多数あります。

これにすべてを適用すると建築が困難になるため、建築基準法第43条により特例(いわゆる「但し書き」)が認められています。

しかしこの特例は、本来「やむを得ない場合」に限定されるべきものです。

それにもかかわらず、「但し書き」を使えば何でも許可されてしまうような事例が増えているのが現状です。

住民は、こうした特例の適用理由が妥当かどうか、安全性や生活環境への影響がないかをしっかりと確認し、必要に応じて開発計画の見直しや中止を求めるべきです。

3)法的には合法だが、住民生活に重大な影響があるケース

現行の法律では建築可能でも、高さ制限の緩和や建ぺい率の拡大などにより、地域の生活環境に大きな負担がかかる場合があります。

これは、「条例を見直すべきケース」とも言えます。開発事業者は一級建築士や弁護士などの専門家を揃え、グレーゾーンを突く設計や法解釈をしてきます。そのため住民も、しっかりと法的な知識を身につけることが重要です。

 

【2】法律と条例の力関係について

日本の法律体系では、上位から下位に向かって規範が形成されています。

 * 日本国憲法

 * 民法・商法などの一般法

 * 建築基準法・都市計画法などの特別法

 * 各自治体の「条例」

一般的には「上位法が優先」されますが、内容が大きく違わず、数値や条件だけ異なる場合、条例は有効です。にもかかわらず、建築士や弁護士らが「条例は無効だ」と主張し、地方自治体の担当者までもがその意見に同調してしまうことがあります。

 

【3】許認可のカギは市町村にある

建築や開発に関する許認可は、都道府県などが最終的に判断するものですが、その前に市町村レベルの同意が必要です。これは都市計画法第32条に明記されています。つまり市町村が「ノー」と言えば、たとえ上の自治体であっても開発許可は出せません。

 

【4】住民ができること

 * 地域の条例を読み、法令との整合性をAIなどを活用して確認する。

 * 条例の「但し書き」や特例の乱用を許さないために、知識を身につける。

 * 地域を越えて住民団体とつながり、専門家からのアドバイスを得る。

 * 市町村や自治体職員に対し、法的根拠に基づいて冷静に対話する。

 

<Q&A>

Q1. 開発計画が近くで始まると聞きました。最初に確認するべきことは何ですか?

A1. まず、その開発が「完全に合法」であるかを確認しましょう。合法であれば中止は難しいですが、「特例や解釈」で合法とされているだけのケースもあります。自治体の条例と照らし合わせて、妥当かどうかを見極めてください。

Q2. 「但し書き」って何ですか?それで何でも建てられるんですか?

A2. 「但し書き」とは、特例的に建築を認める制度です。たとえば、道路幅が4m未満でも、例外的に建築が許可される場合があります。ただしこれは「やむを得ない特別な事情」のあるときに限られます。乱用されているケースもあるので注意が必要です。

 

Q3. 条例より法律のほうが強いのでは?

A3. 基本的には上位法(法律)が優先されますが、内容が矛盾しない限り、条例も有効です。たとえば「高さ制限」など条例独自の基準がある場合、それは有効に適用されます。

 

Q4. 開発を止めたいのですが、市町村にどのように働きかければいいですか?

A4. 都道府県などが最終的に許可を出す前に、**市町村が許可をしなければ開発は進みません(都市計画法32条)。**まずは市町村の担当課に問い合わせ、住民としての意見や懸念を正式に伝えましょう。

 

Q5. 専門知識がなくても対応できますか?

A5. はい。今ではAI(ChatGPTなど)を活用して、法令や条例をわかりやすく解説してもらうことも可能です。住民団体やNPOなどと連携しながら、知識を身につけていくことが大切です。

 

Q6. 地元だけでなく、広域の団体にも相談できますか?

A6. はい。他地域の開発問題に取り組む団体とも連携することで、実績のあるアドバイスを受けられることがあります。ネットワークを広げ、孤立しないことが大切です。

 

「葉山の未来を考える町民会議」版より引用

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